DQ全般

【HD-2D版DQ3】クリアした感想

投稿日:

HD-2D版DQ3、ようやくクリアしました。裏ダンジョンはまだ一部攻略中ではあるのですが、そこはじっくりやっていくとして、ひとまず年が明ける前にひと段落です。

今回のリメイク版DQ3をプレイした感想を書いていきたいと思います。ネタバレを含むのでご注意ください。

シナリオ

オリジナルのDQ3をベースに、少しオルテガにまつわるストーリーを肉付けするようなアレンジが施されていました。冒険の道中至るところでオルテガの目撃談を耳にするようになったことで、冒険に「オルテガの足跡を辿る旅」というテイストが加わり、物語に深みが生まれたように思います。そして、それらはゾーマ城でのオルテガの死というクライマックスに向けて勇者が父への想いを募らせる伏線にもなっていました。

私のように過去に何度もDQ3をクリアしているプレイヤーから見れば、オルテガの顛末を知っているだけに一連のオルテガのストーリーがやや冗長に感じられてしまったというのも正直なところでしたが、初見のプレイヤーにとってはまた違った見え方になったのだろうと思います。記憶を消してもう一度DQ3をプレイしたい、そんな気持ちにさせられるようなシナリオでした。

それから、中ボス的なものが至るところに追加されたのも今作のアレンジでした。オルテガの件とは逆に、これは過去にDQ3をクリア済みのプレイヤーにとってサプライズであり、意表を突かれて何度も全滅させられました。多くの追加ボスのグラフィックがなぜかDQ1,2からの流用になっていてDQ3の景観を破壊しているところが気になりましたが、シナリオ上の位置づけとしてはストーリーを破壊しない程度の脇役に留められていたので、まあ無難な追加要素だったと言えるでしょう。

ゲームシステム

今作のゲームシステムはかなり大胆な改変が行われました。その最たるものがダメージ計算式の変更でしょう。

従来のドラクエシリーズにおいて、通常攻撃のダメージは「攻撃力/2 – 守備力/4」という計算式で算出されるシステムになっています。これはDQ3に限らずあらゆるドラクエシリーズの作品で共通して採用されてきた伝統ある計算式であり、ドラクエの世界における物理学の第一法則です。それを今作では作り変えてきました。

具体的な計算式は以下であることがわかっています。

① = 攻撃力 × (1700 – 攻撃力) / 2000 × (1700 – 守備力) / 2000 × 0.7 × 乱数
② = (攻撃力 – 守備力) × (1700 – Max(攻撃力, 守備力)) / 2000 × 0.6
ダメージ = ① + ②

従来のシンプルな計算式とは似ても似つかぬ、複雑な計算式です。従来であれば、攻撃力が2ポイント上がるごとにダメージが1ポイント増加し、守備力が4ポイント上がるごとにダメージが1ポイント減少するという関係が成り立っていたので、新しい武器防具を購入するか否かを合理的に判断することができました。一方で今回の計算式は、ダメージの一部が攻撃力の二次関数になっていたり、敵の守備力との関係にも影響を受けるので、攻撃力や守備力が増加したときの効能を予測することが難しくなってしまいました。

一応、この改変の狙いも理解できる部分はあります。今回の計算式は攻撃力の絶対値が高くなるほど(正確には850に近づくほど)ダメージの伸びが抑制される仕組みになっていることから、「攻撃力を上げて物理攻撃で殴るだけでよい」というゲームバランスから脱却し、最終的に魔法使いなどの呪文職でも活躍できる状態を目指したと思われます。その狙いは理解できるものの、それでも従来のシステムで十分ゲームバランスは保たれていましたし、計算式を変えずにバランスを調整する方法もあったはずで、あえて計算式を改変する必要があったのかは疑問です。

今後のドラクエシリーズの新作、あるいはリメイクでは、ぜひとも従来のシンプルな計算式を採用してほしいと願います。

ゲームバランス

今作では物理攻撃が相当弱体化されてしまったように思います。これは先述したダメージ計算式とも関係していて、攻撃力が高くなるほどダメージの伸びが抑制されるということが1つの要因です。

もう1つは「うんのよさ」に起因するものです。これについては以前の記事にも書きました。端的に言うと、うんのよさに応じてダメージ計算式における乱数の変動幅がかなり大きく変わるので、うんのよさが低いとダメージが極めて通りにくくなってしまうということです。物理攻撃で大きいダメージを出すには攻撃力だけでなくうんのよさも上げる必要がありますが、それを両立させるような性格は相当限られています。普通に進めていくと、攻撃力かうんのよさのどちらかが不足してしまうということがほとんどです。

恐らく、大量に落ちている種・木の実を惜しみなく注ぎ込んでいくことを前提としたバランスになっているのでしょう。しかし、力の種とラックの種を意識的に同一キャラに投入できるプレイヤーが果たしてどれだけいたのか。そもそも勿体なくて温存するというプレイヤーも一定数いるでしょうし、種・木の実をバランス調整弁として考えること自体が失敗しているように思えます。

また、中終盤のボスがこぞってマヌーサを多用してくることも物理攻撃にとって逆風です。うんのよさを上げておけばマヌーサも回避できるよ、というのが開発スタッフの言い分なのかもしれませんが、ただでさえ弱体化した物理攻撃をこれ以上いじめなくてもよかったのではと感じます。

一方で、ダメージ計算式の改変、物理攻撃の凋落と相対的な呪文攻撃の価値向上というダイナミックな構造変化が起きた割には、全体的なゲームバランスはうまく保たれていたという見方もできると思います。よほど物理偏重の変なパーティ構成にしない限りはボスに勝てなくて詰むということはないでしょうし、仮にそうなったとしてもDQ3には転職システムがあり、リカバリーすることが可能です。ボスのステータスや行動パターンはリメイク前から大幅に変わりましたが、それでも強すぎず弱すぎずという調整がなされていたのは流石であると言えます。ボス敵に限らず、雑魚敵に関しても1つ1つ細かい修正が加えられていて、全編を通じて快適に遊ぶことができたのは開発スタッフの丁寧なゲームバランス調整の結果であったと評価できます。

音楽

東京都交響楽団によるフルオーケストラの音源はまさに贅沢の極みでした。HD-2Dによる映像の華やかさともぴったりマッチしていて、違和感なくゲームの世界に没入することができました。

個人的に今作で最も印象に残った楽曲は「ほこら」です。哀愁を感じさせるメロディで元々印象的な楽曲ですが、今作ではこの楽曲が流れる各地のほこらでオルテガの回想シーンが多数挿入されたことで、一層印象に残りやすくなりました。オーケストラ版では2周目にメロディが1オクターブ上がって感情が高ぶるような演奏になっているので、オルテガの回想シーンの演出としてふさわしい楽曲だと思います。

オルテガ関連で言えば、「回想」も印象的な楽曲のひとつです。これはSFC版のリメイク時に追加された楽曲で、ゾーマ城でオルテガがキングヒドラと戦う場面で使われていましたが、今作ではそれ以外にもさまざまなオルテガ関連イベントで使われていました。一方で、サマンオサでの葬儀イベントなどオルテガとは関係ないイベントシーンでは別の曲が使われるといった変更も施されており、「回想」がまさにオルテガのための楽曲という地位を確立したとも言えるでしょう。

オーケストラ版ではSFC以前のゲーム内蔵音源にはなかったイントロが追加されている曲も多いのですが、そのイントロ部分も演出にうまく使っていると感じました。例えば「街」では4小節ほどのイントロがありますが、初めての街に入ったときに挿入される街の外観を見せるシーンにこのイントロ部分を当てています。他にも、バラモス戦の楽曲である「戦いのとき」では緊張感のあるイントロが追加されていますが、戦闘開始後ではなくバラモスとの会話シーンから楽曲を流すことで、高い演出効果をあげていると感じました。

にほんブログ村 ゲームブログ ドラクエシリーズへ
にほんブログ村

関連記事&スポンサーリンク

-DQ全般


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


DQライバルズを中心に攻略していました。