第0章 はじめに

0.1 まえがき

 こんにちは、けい坊です。この度は「ドラゴンクエスト6 短時間攻略ガイド」を手に取っていただき、ありがとうございます。本書はドラゴンクエスト6(以下、DQ6)の短時間攻略の方法について記述するものです。筆者は本書の攻略法に基づいたプレイで、「8時間8分33秒」という世界最速記録でのクリアを達成しています。

 冒険の書を作成するところからエンディングまで、とるべき行動のすべてを詳細に解説しました。どうしてこのような短時間攻略が可能なのか、その答えがこの本にあります。普通にプレイしただけでは気づきにくいテクニックを駆使し、徹底的に無駄を省いた美しい攻略法は、短時間攻略に興味のある方はもちろんそうでない方にも楽しんでいただけることと思います。

 なお、8時間8分33秒でクリアしたときの実際のプレイの模様をhttp://www.geocities.jp/kei_bou1/writings/dq6rta_061113.htmlにて公開しています。こちらもぜひご覧になってください。

リアルタイムアタックとは?

 タイムアタック(以下、TA)がゲーム内に表示されるプレイ時間を短くすることを目標とするのに対し、リアルタイムアタック(以下、RTA)は実際にプレイした時間を短くすることを目標とします。ですから、TAでは最良の結果が得られるまでリセットしてやり直すということが可能ですが、RTAではリセットした部分も加算されるため、安定性の高い戦略が求められます。

0.2 特色

 RTAで最もプレイヤーを悩ます問題は、戦力をどのように確保するかということです。戦力の底上げを何も行わずともクリアできればよいのですが、普通はそうはいきません。多かれ少なかれ「稼ぎ」を行う必要があります。

 DQ6では、戦力増強する方法として「レベル上げ」と「職業熟練度上げ」の2つがあります。レベル上げではHPをはじめとするパラメータの上昇、職業熟練度上げでは呪文や特技が得られますが、特に重要なのは後者でしょう。ほかのドラクエシリーズとは異なりDQ6ではレベルアップで修得できる呪文や特技が非常に限られているため、ベホイミやスクルトなどの攻略に必須なものはどうしても職業に頼らざるを得ません。ここで問題となるのは、レベル上げと職業熟練度上げの両方を同時に効率よく行うことは不可能であるということです。熟練度が稼げるためには各エリアに設定されたレベルよりもキャラクタのレベルが低いことが条件となるので、職業熟練度上げを効率的に行うためには、低いレベルを維持して敵が弱いエリアで稼ぐのが最良だからです。幸いにも、攻略中盤にはアモス、攻略終盤にはテリーとドランゴという最初から高いパラメータを持つキャラクタが加入するので、通常プレイより遥かに少ない戦力ではありますが、何とかボス敵を倒していくことができるのです。

 それでも、どうしても運任せになってしまうボスも存在します。ムドー(下の世界)とデスタムーアがそれで、勝率はそれぞれ5割と8割です。全滅したときのタイムロスも甚大で、「負けたら運が悪かったと思って諦める」ということを余儀なくされています。開始から2時間半弱のムドーはまだしも、デスタムーアに負けるとそれまでに費やした8時間を無駄にしたことになり、後悔と憤怒と憂鬱が入り混じった複雑な感情に襲われます。RTAにおいてこれほど苦戦を強いられるラスボスはほかに類がなく、ドラクエシリーズ最強のラスボスとして、ムドーとともにDQ6RTAを特徴付ける存在となっています。

 戦闘以外では、アイテム管理の難しさが挙げられます。SFC版DQ3以降に実装された、受け渡し時のアイテム交換機能や、袋からのアイテム使用機能はDQ6にはありません。買い物のときにもアイテム欄がいっぱいのキャラクタには持たせることができず、そのような事態を招くことはタイムロスにつながります。従って、各キャラクタのアイテム欄がどのようになっているかを常に監視し、必要なアイテムが必要なキャラクタに渡るよう調節することが必要なのです。

0.3 歴史

表1 参考:世界最速記録の変遷
達成日達成者(敬称略)記録
1999.01.19dqmaniac23時間1分*1
1999.04.18dqmaniac17時間45分*1
不明hori300014時間40分
不明hori300014時間21分
2001.07.??リョウ壱号機12時間43分
不明hori300012時間29分*2
2001.12.25シグ11時間8分
2004.08.01けい坊10時間48分
2004.08.05けい坊10時間9分
2004.09.06けい坊9時間38分
2004.11.16シグ9時間22分18秒
2005.06.22シグ8時間55分17秒
2005.10.09けい坊8時間44分32秒
2006.09.02けい坊8時間19分29秒
2006.11.13けい坊8時間8分33秒

 最初のRTAの記録は、恐らくdqmaniacさんの23時間1分(1999年)です。同じ年に、dqmaniacさんは記録を伸ばして17時間45分としています*1。その後、2001年までにhori3000さんによる12時間29分*2、リョウ壱号機さんによる12時間43分という記録が残されています。

 2001年12月に、シグさんによって11時間8分という記録が達成されました。シグさんの戦略は画期的なもので、当時まで主流であった「シナリオ攻略中の雑魚敵を倒して熟練度稼ぎ」を捨て、シナリオ攻略と熟練度稼ぎを完全に分離しました。また、従来必須だと考えられていたハッスルダンス(スーパースター★6)を切り、アストロン(スーパースター★2)までに稼ぎを抑えることで大幅な短縮に成功しています。この記録は2004年まで世界最速の座に君臨し続けました。

 2004年8月、けい坊は10時間48分という記録を達成しました。さらに同月中に10時間9分、同年9月には9時間38分でのクリアに相次いで成功しています。3年という長きに渡ってだれにも破られることのなかったシグさんの記録から1時間半という大幅な更新に成功した主な要因は、「熟練度稼ぎの効率化」「アモスの使用」「諸刃斬り・気合ための使用」でしょう。回し蹴りをメインの攻撃手段とし、「めいれいさせろ」を使わずにかつ主人公を外して熟練度稼ぎを行うことで、コマンド入力なしでしかも高速に敵をなぎ倒していく方法を確立しています。アモスはdqmaniacさんらの時代では使用が主流でしたが、シグさんは仲間にする手間を嫌って不使用としていました。これを再度導入することによりボス戦や熟練度稼ぎの時間短縮につながり、仲間にするロスを補って余りある短縮効果を呼び込みました。諸刃斬りはそのリスクの高さから敬遠されがちな特技ですが、耐性に関係なく1.5倍のダメージを与えるという威力の高さに着目し、積極的に利用することにしました。さらにダメージ2〜2.5倍かつ攻撃が必中になるという気合ための有用性にも気づき、これも導入しました。

 同年11月、シグさんにより9時間22分という記録が達成されました。シグさんは必須だと思われたアストロンを切り、大幅に熟練度稼ぎ回数を削減しました。アストロンなしでデスタムーア戦に臨むというのは非常に画期的で、大幅な短縮効果をもたらした反面、非常に厳しいラスボス戦を強いられるようになったという二面性があります。2005年3月にはけい坊も同様にアストロンを省いた戦略を導入し、シグさんと並ぶ9時間22分でのクリアを達成しました。このときの戦術をもとに、シグさんとけい坊の共著「ドラゴンクエスト6 リアルタイムアタック(初版)」を刊行しました。さらに細部を詰めていき、同年6月にはシグさんにより8時間55分、10月にはけい坊により8時間44分という記録が達成されました。

 2006年9月、けい坊は8時間19分という記録を達成しました。さらに同年11月には8時間8分33秒という、2007年8月現在の世界最速記録を達成しました。ここで画期的だったのは、「表示速度を変更する」というものです。冒険の書作成時に戦闘メッセージの表示速度を決めますが、従来は最速の「1」を選んでいたところを、最も遅い「8」に変えました。実は、表示速度を「8」にして自力でボタンを連打した方が、「1」にするよりも速いということに気づいたのです。ただし手動のボタン連打ではせいぜい「1」と同程度の速度しか出せず、十分な効果を得るには連射コントローラが必要であること、より優れたコントローラを使えばより短縮される可能性があることをここに明記しておきます。

凡例

ゲーム中で行う行動の記述には、行の先頭に以下のマークを付しています。

  • ▽ ストーリーを進行させるために必要な行動。
  • ◇ 回収や買い物など、アイテムを得るための行動。
  • ◆ Aボタンを押してメニューを開いて行う行動。
  • ○ 経験値稼ぎや転職など、パラメータの変化に関わる行動。

  • *1途中で休憩を挟んでいるので厳密にはRTAではないが、当時はRTAという概念もまだ確立されていなかったという背景を考慮し、記録として掲載した。
  • *22001.02.23号のファミ通(株式会社エンターブレイン)に掲載された。